一病息災
2018.09.04
一病息災の代表が糖尿病です。
無病息災という言葉がありますが、老人人口が増えてきており、一方現代病が多くなってほとんどの人が身体に何らかの弱いところを持っています。自分の一番弱いところ、病気を管理していくことが健康で長生きするコツです。
糖尿病による高血糖状態も、きちんとした医師の指導を受け治療を守れば、確実によくすることができます。しかし、インスリンの作用が不足している状態は、加齢や長年の生活習慣の結果として起きたものですので、多くの場合なかなか元に戻すことはできません。つまり、治療によって一時的に血糖値が下がったとしても、治療を続け生活を正していなければ、血糖値はすぐまた高くなってしまうということです。
血糖値を下げてできるだけ健康な人と同じくらいに保とうとすることを、「血糖を コントロールする」といいます。糖尿病の人も血糖コントロールを続けていけば、高血糖によって起こるさまざまな病気(合併症)を防ぐことができます。寿命も健康な人と変わりません。
しかし血糖コントロールを守らないと、合併症は知らず知らずのうちに進行します。そして合併症は一度発症してしまうと一般に治療は難しく、進行を抑えることが 治療の主な目的となってしまいます。気付いたときにはもう取り返しのつかない状態になっていた、という患者さんは少なくありません。
一生油断は許されないという意味で、糖尿病は「治る」とか「治らない」といった 表現をあまり用いずに、「しっかり治療をしていれば、一生治ったと同じ状態を保つことができる病気」と表現することが多いようです。まさに一病息災と言うわけです。
「糖尿病は合併症の病気」ともいわれ、患者さんがお困りになる最大の原因は合併症(余病)です。そして糖尿病の症状は気付きにくいのが特徴です。多少血糖値が高いくらいでは全く症状のない人が ほとんどです。しかし、その程度の高血糖でも合併症は着実に発症・進行していきます。「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状があれば血糖値はかなり高くなっている」ということです。一病息災で長生きするためにはその病気の本性、つまり症状をまず知らなくてはなりません。そして早期発見、早期コントロールが治療のポイントなのです。